美しい夏の朝に (もう冬であるけれど)
2005年1月3日 読書巨人になりたい
この山々を
この雲を
この青空を
この夏の朝を(もう冬であるけれど)
両腕に抱きとりたい
巨人になりたい(世界で一番ちいさな巨人)
山の彼方の幸せを(そして亡くしてしまった幸せを)
指でつまんで(そして胸に優しく抱きしめて)
ポケットに入れ
夜へ向かう
すべての憧れを(そしてなくしてしまった希望を)
小鳥のように
つかまえてしまう
巨人になりたい
一日に一度打つ心臓
永遠を見つめる瞳
太陽にやけどする指先
日記には歴史をしるし
革命の悲惨を
裏切りの栄光を
残らず両手にすくいとる
巨人になりたい
暗黒の宇宙に身を投げ
銀河の流れに泳ぎ
両腕に地球を抱きしめ
黙って涙をこぼしている
限りなく無力な
巨人になりたい(ああただでさえ無力なのに)
そうでなければむしろ
一匹の蟻になりたい
露草の迷路に果なく迷い
いつまでも迷いつづけ
それでいい(そうそれでいい)
この美しい夏の朝に(ああなのにもう冬なのだ)
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