悲しみとは、捕らえきれるものなのだろうか。
まるでそれが情熱であるかのように、突如として僕の心を締め付けるのだ。
それは理由があっての悲しみではなく、悲しみがあってから理由を探すような、そんな悲しみの形。
テーマパークで、ふと迷子になるかのような悲しみ。
素敵な場所で、素敵な食事をしてから、ふと自分がどんなに孤独であるのかに、気づくような、そんな悲しみが、僕を現実から離れさせ、あるいは近づけようとさせるのだ。
すごす日々が、そんなときは、まったくの無駄であると、そう感じずにはいられない。

こんなに孤独を感じるのは、
人を愛せない所為だろうか。
あるいは愛しすぎて、愛していることにさえ気づかずに居る所為だろうか。
無邪気であるのを装い、一時の寂しさを紛らわしていることに、気づいた悲しみではなく、悲しみによって甘えが暴かれる。
どこにもたどり着かない甘えに、僕は過ぎてしまった時間と、取り戻せない過去に、涙する。

後悔などしないなんて、嘘だ。

自分を過去に縛り付けているような、そんな幻想で怠惰を隠していた。
愛のありかを感じるよりも、自分から愛のありかを決めていた。

だからこの町で、突如襲われる悲しみに、僕は静かに涙を流すほか無い。
行動は、何もかも嘘である。

この広い世界で、僕は孤独だ。

いつでも心に穴が開いている。
だからいつでも人をそばに求める。
寂しいような悲しいよな表情をして、
まるで当たり前かのように、誰かに甘えずには居られない。

孤独から解き放たれるなら、偽りの愛でも表現して見せよう。

世界はこんなにも広いのに、僕一人の孤独さえも、癒せはしないんだ。

自分という人間の卑しさを知りながら、
僕はそれを受け入れることを拒んでいる。
綺麗な笑顔を浮かべて、人々に愛されたいと願っている。

何もしないで、ただ待つだけ。
手を差し出されるのが当たり前だと思うから
差し出されないことに余計心が痛む。
愛を求めてばかり。

世界は寂しさで出来ている。
時々歪んでは、やさしさを産みだす。
それは、水のようなものだ。
だから歪み無いとき、僕は乾きに喘ぐ。

これは一体、どんな様な人生なんだろう。

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